業界天気図

大阪ガス、定置用蓄電池劣化診断技術を開発
最適運用システム構築へ

 大阪ガスと同社100%子会社のKRI(京都市、重定宏明社長)は、KRIの技術を活用し系統用蓄電池などを対象とした定置用蓄電池向け劣化診断・寿命予測技術を開発した。同技術と大阪ガスの電力トレーディングのノウハウを組み合わせ、蓄電池の最適化運用システムの構築を目指す。
 再生可能エネルギーの導入が進み、出力変動の抑制に寄与する蓄電池の必要性が高まっている。大阪ガスでも、国内3カ所で系統用蓄電池事業に取り組んでいる。蓄電池は、劣化状態に応じて適切な充放電制御を行わなければ、急劣化を起こし安全性が低下する能性がある。とくに大型定置用蓄電池は、長く安全に使用し続けるため運用技術の開発が求められている。
 両社が開発した技術は、運用中の定置用蓄電池の電圧、電流、温度といったモニタリングデータなどから蓄電池の劣化状態を診断するのに加え、運用パターンごとの将来劣化を予測する。物理現象に基づく理論モデルとデータを併用することで、データのみを用いた従来の予測手法に比べ幅広い運用パターンの選択肢から最適な運用方法を抽出することが可能。劣化進行を抑えた、蓄電池の長期運用が期待できる。
 今後は、同技術を段階的に自社の蓄電池事業に適用し、実用化に向けた詳細設計を進める。蓄電池の長寿命化と安全性、電力市場取引の経済性を両立する蓄電池の最適な運用を導き出すシステムの構築を目指す。蓄電池事業全般では、大阪ガスグループが参画済みの系統用蓄電池事業に加え、再エネ併設型の蓄電池についても検討を進め、国内トップクラスの蓄電池運用事業者を目指す。